「関西佐賀県人会」の皆様、日頃より多久市へのご支援誠にありがとうございます。
多久市は、佐賀県の中心に位置し、緑豊かな自然に囲まれたまちです。
今回は、多久市西多久町に江戸時代から伝わる伝統野菜「女山大根」をご紹介します。
令和4年6月29日、佐賀県多久市西多久町内で栽培されている「女山大根(おんなやまだいこん)」が、農林水産物や食品を地域ブランドとして保護する国の地理的表示(GI)保護制度に登録されました。佐賀県内の農林水産物では初めての登録になります。(登録番号 第121号)
~歴史と現在~
「女山大根」は、250年以上前から栽培されていたとされ、江戸時代の多久地域を記録した文献「丹邱邑誌(たんきゅうゆうし)」(1847年)に登場し、多久出身の儒学者草場佩川(くさばはいせん)は、詩や絵に好んで取り上げています。また、110年前に「女山大根」の品評会を実施していた記録が残っています。
「女山大根」は、大きすぎて市場の規格に合わず、市外に出回ることがなかったため、自家用としてわずかに栽培されるのみで、自家採種を繰り返していくうちに、ほかの大根と混ざり合い、在来種本来の色や形は次第に失われたこともあり、昭和初期にはミカン等への転換によって一時消滅しかけました。
しかし、ほかでは見られない在来の珍しい大根を地域の特産品として見直す機運が高まり、昭和60年代から佐賀県佐城農業振興センターや多久市が一体となり産地復興に取り組み始め、地域にわずかに残っていた種子を、佐賀県の農業試験研究センターに持ち込み、10年近くかけて交配、選抜を繰り返して本来の姿・形を復活させることに成功しました。
平成7年にオープンした地域農産物直売所の目玉産品として生産振興を図り、産地復興当時は2~3名の生産者による1tにも満たない生産でしたが、令和2年は約30名の生産者が約10tを生産しています。「女山大根」の出荷時期は、12月中旬から2月下旬までです。
~特性~
「女山大根」は、アントシアニンを含む、美しい赤紫色をした赤首大根で、成長すると4キロから5キロになり大きいものは10キロを超えるが肉質は緻密で「す」が入りにくく、一般の青首大根に比べて糖度が高く、特徴的な色と煮崩れしにくい特徴から、煮物のほか汁物や和え物など料理の具材として珍重されています。